最近読んだディープな本をご紹介ー☆
相変わらず歴史にはまっている私ですが、ついに民俗学までかじってしまいました。
歴史、詳しくなれば詳しくなるほど疑問が沢山湧き出てくるのです。
織田信長は、武力だけで領土拡大していったように思われがちだけど、「常識を壊す異端児」だと言われていた。
そこで言う「常識」って何なんだろう?
商売は「座」に属する特殊な人しか許されていなくて、信長はその常識を壊して楽市楽座を始めたんだけど、そもそも商売を許されていた人って誰?
一部の人しか商売してないなら、財は一部に固まっているはずで、それは相当な権力を持つはず。
貴族は名前だけで貧乏になってる人が殆どって噂だけど…じゃあ、誰が元締めなの?
信長は、何と闘っていたんだろう?
上総介とか筑前守とか日向守とか、官位とか、そういうのって、なに?
天皇が任命していたんだろうけど、任命されて良いことってあるの?
ってか、名前がついている場所と実際治めている場所って全然違わないか?
というような様々な疑問。
よくよく考えると、高校の教科書などからは南北朝あたりを境に明治まで天皇の記述は消え、貴族の記述も消え、武士ONLYの歴史になるのです。
たまに農民一揆とかの記述は出てくるけれど、武力で制圧したようなことしか載っていない。
でも多分、実際には武力制圧よりも根回しとか政治とかの方が大変だったと思います。
何かしらの「常識」があって、権力者は”自分はいかに理にかなっていて正しい人間です”と世間に知らしめる必要があったわけです。
そんな中、目に留まったのがこちらの本。
この本、400ページほどのそこまで長くない文庫本なんですが、言葉が難しいんです。
知らない単語がめっちゃ乗ってて、読むのにめっちゃくちゃ時間かかりました。
今まで全く知らなかった「日本の常識」がそこにはありました。
知らない常識=まったくの非常識なので、飲み込むまでにも相当時間がかかりました。
ちなみに、「座」の元締めは寺社勢力でした。
商売は神様から与えられた特権だったのです。
なので一般人が商売をやるなんて罰当たりでけしからんことだったのです。
だから今でも鳥居の中は市場だったり出店だったりあるんだろうなぁと思います。
でも室町時代の中ごろから、
「神や仏に仕える身でありながら利益をむさぼろうとするのは悪である」
と言い始めた人たちがいて、その人たちが天下を取ってなんだかんだ今があるので、
現代の感覚だと
「利益が出なければ潰れてしまうから、ある程度は仕方ないけど
ぼろ儲けしてる会社はなんだかムカつくぜ」
という「けしからん」的な気分になることが多いし、
「神聖な寺社の敷地内でなぜに世俗的な商売が盛んなのか?」
という気分になる。
この本には学校で教えてもらえないことがたくさん載っている。
すさまじい血統信仰とか。
エタ・非人、部落差別などの差別問題についてとか。
ってか、あれだけ必死に名称を覚えさせられたのに、
「じゃぁ、エタってどんな人ですか?」
って聞くと、
「え・・・それはちょっと・・・」
「部落差別ってなんですか?」
「住む場所で差別されてる人がいるんです」
「どういう理由があってですか?
それはどこですか?」
「え・・・それはちょっと・・・」
っていう、学校の教育っておかしいよね!?
言葉を教えるのなら、意味を教えるべきだし、
教えないのなら、覚えさせるなよって感じ。
この本では、とても丁寧に詳しく説明しています。
後は性の常識とか。
性の常識については、前に井原西鶴の好色一代男をちょっと読んだ時に
はぁっ!!?(-_-#)
って思ったけれど、現代の常識や習慣とはまるで違う。
「最近の若者は、性にだらしなくてなってない!」
的な報道をされるけど、
まぁ10年20年くらい前と比べると奔放になってるかもだけど
古代〜戦前と比較すれば、今ほど奥ゆかしい時代はありません。
子供に対する常識とか。
今ほど子供を大切にしている時代はありません。
昔は良かったとかいうけれど、
今が一番、マナーや教養があることは間違いないと思う。
すんごい難しい本だったけど、内容がかなり興味深いものだったので読破することができました。
出会って良かった一冊!
ぜひとも学生さんに読んでほしい!!