ダーリンの会社では人事異動シーズン。
今回も沢山の人が動いた。
私はその会社を辞めて久しいが、人事異動のリストを見て未だに知っている人が数名いるっていうのはすごいことだと思う。
その中に知合いの名前を見つけた。
私が最後の店舗にいた時のアルバイトで、どうしようもなくダメな男の子だった。
Y君は、当時20歳。
大学生だったが、学校がつまらないからと行かなくなり、アルバイトで生計を立てていた。
仕送りはあったのだが、大学に行っていないことが親にバレ、止められたのだった。
そんな訳でY君ちは電気とガスが止められ大変なことになっていた。
当然、食べ物も買うお金がないみたいだった。
Y「てな訳で大変なんすよ!
だからバイトめっちゃ来ます!」
私「学校行けよ(−_−#)」
ってか、Y君の実家は一人暮らしの部屋から徒歩20分の場所にあった…。
何てナメた男だ!!!!!
Y「実家帰ると、親はうるさいし自由がなくてイライラするんすよ´д` ;」
私「親じゃなくてもうるさく口出ししたくなるぜぇぇぇ!」
◇Y君との思い出1◇
私「ってか、シフトの都合もあるんだから勝手に出勤してんじゃねぇよ!」
Y「かすみさん…お願いします(;_;)
自分、バイト来ないと餓死します」
そう、社食は現金がなくても利用できるのだった!(←給与天引)
私「あとね!12時間以上店にいるのも止めてくんないかな!?
こっちはね、労働基準法を遵守しなきゃいけないんだよ!!」
Y「だって3食食べるためには12時間くらい必要っすよ!!!」
私「3食も食ってんのかよ!!!!」
Y「・・・休みの日は一日パン一個で飢え凌いでるんで・・・
正直、連休要らないっす!」
私「(-_-;)」
とりあえず、休憩時間を多くすることで法律は守り、売上を伸ばすことで人件費率をカバーした。
◇Y君との思い出2◇
ある日Y君は作業中に脚立から落ちて服が破けてしまった。
私「大丈夫!?」
Y「あぁ、大丈夫っす!余裕ですよ、はは^^」
私「スラックス破けちゃったな・・・」
Y「あ、別に自分気にしないんで大丈夫っすよ、はは^^」
私「はは^^じゃねぇよ!!
客商売なんだから気にしろっつーの!!!」
Y「でもそんな金無いっす!」
私はY君の仕事服を用意してあげることにした。
私「お客様からのクレームで裾が短いって返品されたスラックスと5年くらいディスプレーで使ってる蛍光焼けしたシャツがあるから、それあげるよ」
Y「マジっすか!!o(゚▽゚o)」(←それで喜ぶのもどうかと)
M君「あいつ、かすみさんに完全に依存して生きてく気満々すよ・・・(-"-;)
気を付けてください!」
私はダメ男に貢ぐ女性の気持ちが少しわかるような気分がした。
◇Y君との思い出3◇
Y君は私にかなり懐いていた。
Y「あ、ちょっと便所行ってきます」
私「はい」
売場から離れるときは必ずどこに何しに行くかは一言言って離れることになっている。
もちろん、トイレと分からないように隠語を使っている。
Y「大きい方なんで、遅くなります!」
私「・・・・・・それは言うな・・・・・・(´□`;)」
私には懐いていたが、上司たちにはそうでもなかったので、結構目を付けられていた。
ある時上司は店長にこっぴどく怒られた。
上司「Yたちがトイレの使い方がひどいって店長に怒られた〜〜〜〜(T_T)
俺、何でそんな情けないことで怒られなきゃいけないんだよ〜〜!!!」
私「( ̄∇ ̄;)」
上司が泣き崩れ使い物にならないので、Y君に問いただした。
私「Y君たちがトイレ使った後、床がびっしょびしょになってトイレットペーパーの屑が大散乱してるってクレームがきてるんだけど!?」
Y「・・・はぁっ!?」
私「君たち手ぇ洗った後、手を振り回したりして乾かしてるでしょ」
Y「ちょっと待ってください!
確かにハンカチは持ってません!
でも、トイレットペーパーで手を拭いてますから、俺ら清潔です!!」
私「・・・清潔とか不潔とかいう話をしてるんじゃないよ?
拭いたらごみ箱に捨てろって話だよ!!」
上司「いや、ハンカチ持って来いって話だよ・・・」
何だろう、この出来の悪い息子を持ったお母さんのような気持は!?
◇Y君との思い出4◇
ある時、レジで違算が立て続けに起こった。
調べたところ、小銭の違算が出ているようだった。
店長「お前のとこのYとかいうバイト、明らかに金に困ってそうだよな・・・?」
違算が続くと当然レジを触っている人間が疑われる。
レジからお金を抜く人って、お札を抜く人よりも小銭をちょっとずつちょろまかす人の方が多いのだ。
上司「どうしよう!?
店長からあいつ疑われてるけど!?」
私「絶対Yじゃありません!
バイト来られなくなった瞬間、あいつ餓死決定ですから!!」(←その理由もどうかと・・・)
調べた結果、レジに慣れていないバイトの渡し間違えやら事務さんの手違いやらいろいろだった。
◇Y君との思い出5◇
そんなY君の趣味はパチスロ!!!
バイト代が入ると3日で使ってしまう。
そう、バイト代が入るとやつは調子に乗ってバイトもサボり始めるのだった。
要はそういうことしてるから貧乏なのだった・・・。
私「こっちだってボランティアじゃないんだから、シフト守ってくれないと困るんだけど!?」
イライラが達しY君に電話すると・・・。
Y「すいません・・・
窃チャで捕まりました(^_^;)」
私「!!!!!」
後日へらへらしながら出勤してきたY君。
私「てめぇ、次やったらクビ!!!」
Y「あぁあぁあ、それだけは勘弁を!!!!」
Y君はそれから真面目に出勤するようになっていった。
ちゃんと就職するように説得したが、首を縦に振らなかった。
Y「自分、この仕事どんどん面白いと思えてきたし、ずっと続けたいんです」
Y君はアルバイトからパートになった。
私が会社を辞める頃、パートから契約社員になれる制度ができあがった。
私「Y君、本当頑張っていい男になるんだよ」
Y「わかってます!
任せてください(^^)v」
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あれから8年。
Y君はとあるお店の紳士マネージャーの辞令をもらっていた。
上層部から目を付けられていたY君。
パートから契約社員になるのにも上層部からの推薦状と面接が必要だ。
いろいろ苦労もあっただろうけど、頑張ったんだろうなぁ。
出来の悪い子ほどかわいいっていうけれど、本当にすっごい嬉しいものだね。